新紀元社 / Shinkigensha

救国の英雄の救世主

救国の英雄の救世主

シリーズ名:モーニングスターブックス
著者:守野 伊音
イラスト:めろ
定価:本体1,200円(税別)
四六 324ページ
ISBN 978-4-7753-1947-5
発行年月日:2022年03月16日
在庫:品切れ

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本の紹介

砦を守る騎士のみなさんを『アレ』から守り抜きます!

国境近くの村に唯一ある診療所で医師の父とふたりで暮らすミシル。ある夜、急患の呼び出しを受けた父が出かけ、診療所兼自宅にひとり残っていたミシルは、急襲するかのように診療所を訪れた鬼気迫る顔の騎士によって、国境沿いの砦へ連行されることに!? そこには彼女の助けを待つ騎士たちがいた──。

“救国の英雄”と謳われる騎士と医者の娘のじれじれな恋のライバルはまさかの桶!?
知る人ぞ知る珠玉の一作が大幅加筆で書籍化!

「本当に、面目ない」
私の前では、私を拉致に近い形で連れてきた隊長さん、またの名を救国の英雄が頭を下げていた。
開いた膝の上に握った拳を置き、深く頭を下げている彼の足元には、すり潰し混ぜ合わせた薬草
をたっぷり入れた桶がある。そこに素足を入れて頭を下げる姿は、言うのもなんだがちょっと間抜
けだ。だって夏に涼を求めて足を浸す光景に似ている。

「あの地獄の日々が貴女と出会うための伏線だと思えば、私は甘んじて受けましょう」
「あ、あの」
「私たちは出会ってまだ日が浅い。けれど、ずいぶん昔からこうしていたように思いませんか?」
「……まあ、それは」
彼に手を取られることに抵抗がなくなっている。彼をこうやって見下ろすことはもちろん、見上
げるなんて呼吸するより簡単だ。彼と過ごす時間のどれもが特別に思えた。それは、そのどれもが
奇異だったからではない。ひとつ残らず大切だったからだ。

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